歯ぎしりによる歯根破折

2016年3月26日

写真はむし歯でもないのに、突然歯が割れてしまった症例です。完全にまっぷたつ!こういう状態を「歯根破折」といいます。歯を失う理由として「歯周病」「むし歯」は思いつくかもしれませんが、それらと同じくらい「かみ合わせの力」はリスクになります。

 

噛み合わせの力は、ものすごく強大です。平均的に50kgちかいとも言われています。そうは言っても、なかなかピンとこないかもしれません。では私たちは一日にどのくらい歯をつかうのでしょうか?

正解は、15分くらい!短いです。でも、たしかにそうかもしれません。

 

3度の食事をしっかり咀嚼する人でも、上下の歯が接する時間は一瞬です。それらを合計しても15分くらいでしょう。さらに食事の時に強い力をかけることってあるでしょうか?硬い肉とか噛み切れないイカなんかは結構力をかけますね。一方、豆腐やプリンを食べるときなんて、歯があたるかどうかの力だと思います。軟らかい物が多くなった現代の食生活において、食事だけで歯が壊れるほどの力を使うことはあまりないかもしれません。

歯が壊れるほどの力を使うのは、ほとんどが無意識の時です。

たとえば歯ぎしり。ぎりぎり歯をすりながら動かすパターンだけでなく、カチカチ上下の歯をぶつけたり(私はこのパターン)、音もなくただひたすらかみしめる方もいます。

ただ、歯ぎしりを自覚している人はほとんどいません。しかし実際には日本人の50%以上が歯ぎしりをしています。

 

歯の表面はガラスのような結晶構造でできています。繰り返される強い力によって、歯に少しずつひびが入りいずれ内部まで破折していきます。むし歯や歯周病と違って、根まで破折した歯は治療ができません。

歯ぎしりの有無は歯のすり減りや、顎の形態、筋肉の緊張から診断できます。不安な方は一度ご相談下さい。