歯科分野の再生医療

2013年11月12日

京都大学の山中教授がノーベル賞を受賞して以来、『再生医療』という言葉を耳にする機会が増えました。この再生医療、実は歯科の分野では歯周病やインプラントの手術で応用されていることをご存知でしょうか?

歯科で行われる再生医療は、人工骨や人工膜を使用し、顎の骨や歯茎を再生させる手術が一般的ですが、現在CGFとよばれる血小板ゲルが非常に注目を集めています。CGFは患者さんの血液を採取し、そこから血小板や成長因子を抽出した完全自己成分のゲルです。感染のリスクが低く、手術の治癒促進やインプラントの骨移植に有効です。

先日、当院でも骨が薄く通常の手術ではインプラントができない患者さんにCGFを使用した骨造成を行いました。骨移植を伴うインプラントは、術後に腫れや痛みが強くでる傾向がありますが、今回はCGFの効果か非常に落ち着いた治癒経過をたどっています。

歯医者の仕事が歯を削ることから、歯を再生させる仕事になる日もそう遠くないかもしれませんね。

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患者さんの血液をいれた試験管を高速回転させ、血小板と成長因子を抽出しています。CGFはゲル状なのでそのまま骨の移植材料にしたり、薄く延ばして感染のバリア膜にすることができます。