各歯科医師による診断の違い②

2010年7月8日

前回の内容が非常に多くの反響をいただきましたので、今回は続きを書きます。

写真には3本の歯がみえますよね。
一番上が虫歯になった親知らず、真ん中はレントゲンによる診断で「抜歯適応」とされる歯、そして一番下には銀歯がみえます。
どんな治療がかんがえられるでしょうか?

「真ん中の歯は抜いてブリッジにしましょう。」
「真ん中の歯は抜いて、一番奥の親知らずも虫歯だからこれも抜いてインプラントにしましょう。」
「真ん中の歯を抜いて、そこに親知らずを移植しましょう。」
「真ん中の歯を抜いて、親知らずを矯正で引っ張りよせましょう。」
「すぐにだめになるかもしれないけれど、全て抜かずに治療しましょう。」
「治療どころか、まずは歯ブラシを徹底しなくては…」

まだまだあって書ききれません。
前回書いたとおり、診断、治療法は歯科医師によって少なからず違いがでます。ですのでこの写真1枚をとっても、歯科医師が10人いたら喧嘩がおきるかもしれません。

歯科医師は自分の治療経験、受けた教育、思想によって数ある治療法のなかから最も良いと思われる方法をいくつか患者さんに提示します。
たとえば、インプラント治療を否定している先生はインプラントをすすめません。同じように、矯正治療を否定している先生もいますし、ブリッジを否定している先生もいます。
しかし私の個人的な考えとしては、できる限り多くの治療法を勉強し、良好な治療成績が予想される方法であれば、なるべく否定せず患者さんに選択肢の一つとして提示すべきだと思います。

歯科医師は大学生活の時からそうですが、どうしても同業者との交流ばかりになりがちで、視野、考え方が狭くなりがちです。また、職人気質な先生も多く(いい意味でも)自分のやり方と違う方法を結果にかかわらず否定しまうことがあります。
いつまでも柔軟な思考で、バランス感覚のある歯科医師でいたいと思っています。(なんかちっとも柔軟性のなさそうなかたーい文章になっちゃいました!)