歯は抜きっぱなしにでいいの?

2015年9月23日

ぼくは旅行に行くなら、なるべく荷物を少なくしたいタイプです。1泊2日なら、普段使いの鞄ひとつで十分。これは旅行に限らず、日常生活においても同じです。本当に必要な物以外、なるべく無駄なものは持ちたくないと思っています。
ですから、歯を失ったと患者さんが「一本歯がなくても、他で噛むことができるからそのままでいいよ」といって放置する気持ちは十分わかります。
でも、放置すると後ですご〜く困ってしまうかもしれません。

写真はまさにその代表例。「歯の挺出」です。
この患者さんは左下の歯を10年前に無くしましたが、右の奥歯で食事ができたので放置したまま今日まできました。しかし最近、頼みの右奥歯がわれてしまったので、いよいよ入れ歯をつくろうと考え来院されました。
あれ、でもよく見てください。上の歯が伸びおりていて、下に入れ歯を入れる隙間がありません。そうなんです。歯は噛み合わせる相手や隣り合う歯が無くなると、動いてしまうのです。それが1年程度なら問題ありませんが、何年も放置しているといざ治療をしようと思っても、歯をいれるスペースがなくなっていて非常に困るのです。
この状態になってしまうと、動いた歯を矯正治療によって元の位置に戻したり、大きく削って歯を入れるスペースを確保する必要があります。

歯を失ったあと、「入れ歯は入れたくないけど、すぐにインプラントをいれる余裕はないなー」とお考えの患者様は少なくありません。そんな時は、決して抜きっぱなしにせず、歯が動かないよう何らかの対策を講じておくといいでしょう。