ここでついに歯科技工士さんの登場です。
失った部分を「ワックス」と呼ばれるもので精密かつ丁寧に作り上げていくのです。
歯科で用いるワックスはどちらかというと誕生日ケーキなどに飾りつける蝋燭(ろうそく)のようなもので、削って形を整えたり出来るうえ、ある程度の硬さがあるので非常に便利な材料です。
以前も書きましたが、歯には細かな溝が無数に存在し機能的に働いています。
それぞれの歯をミクロのレベルまで忠実に再現しより機能的に働くようひとつひとつ作り上げるその技はまさに職人技です。銀歯を入れる機会がありましたら、是非とも調整してお口に入る前にじっくりと眺めて見て下さい(笑)
このワックスで出来た歯を再び石膏などの特殊な材料の中に埋めて固めます。
その後、600度~1,000度の高温で焼くとワックスだけがきれいに溶けてなくなり銀歯の「鋳型」ができるのです。
次回はついに銀歯の完成です。
ついに出来上がった「鋳型」に金属を流し込みます。
ところで・・・
銀歯は一体どんな金属だと思いますか?
銀歯というくらいだから「銀」が入っていることは想像できると思います。
しかし、他にも多くの金属が混ぜられた合金なのです。
もっとも主流なものが「金銀パラジウム合金」と呼ばれるものです。
これは銀の他になんと「金」が入っています(約12%)。
金は非常に優れた材料で少し混ぜただけでも銀歯の性質を向上させます。
見た目は目立ちますがやはり金は非常に優れた材料なのです。
金歯が虫歯になりにくいのもうなずけます。
上記で、型を取るための材料について書きましたが別の材料もあります。
それは「シリコンラバー」と呼ばれるものでいわゆるゴムに近いものになります。
これは特殊な材料で歯の表面だけではなく歯の周りにある歯ぐきの溝の中(歯肉縁下)等、非常に細かい所まで忠実に再現します。
その為、インプラントで最終的な歯を製作する時や前歯などのかぶせものでミクロの単位で審美性(見た目の美しさ)を追求する時などに使用します。
さらに「ラバー」でも硬さの違う二種類(青色と水色)を組み合わせることでより完成されたものとなります。
この材料は我々歯科医師にとってより良いものも作る為の武器となります。
しかし欠点があります。
それは固まるまでに時間がかかることです。その為、患者様に少しの間ツライ思いさせてしまうかもしれません。
その際はより良いものへの追求をご理解いただき協力して頂けましたら幸いです。