本やインターネットで調べてみると・・・
安定期に入れば歯科治療は問題ありません。赤ちゃんが生まれた後は、歯医者さんにいくのも一苦労ですから、おなかにいるうちにしっかりと治療しておきましょう。
妊娠に歯科治療が悪影響をおよぼすことはほぼありません。出産時に痛みがでると大変ですから、安定期にむし歯や歯周病はしっかりと治療しておきましょう。
歯を抜いたり、痛みどめをのむこと以外はほとんど問題ありません。
歯科治療が妊婦にどのような影響を与えるのかは立場によって様々な意見があります。
これは、福島原発の問題で「放射性物質がどの程度人体に影響があるのか」についての見解が政府、専門家により異なるのと同じです。
どちらも「おそらく大丈夫だけれど、100%大丈夫とはいえない」のです。
ですから、実際に歯科治療を行う歯科医師からすると、歯科治療の母子に及ぼす影響がはっきりしない限り応急処置以外の治療は行わないというのが原則です。
あとは患者様ご自身の考え方、痛みやお口の状況を担当歯科医とご相談のうえ、どこまで治療していくか検討してください。
それでは歯科治療で妊婦、胎児へ悪影響を与えると考えられるものについて細かく検証してみます。
なお今回、写真協力してもらったのは当院歯科衛生士の畠山です。この当時、妊娠八カ月ですがそんなの素振りもみせずばりばり働く明るい元気なお母さんです。
しかし、実際は・・・
歯科で一般的に使用される局所麻酔は、胎児への影響はほぼありません。
一部、麻酔薬に含まれるアドレナリンが血圧を上昇させ子宮にも影響を及ぼすという意見もありますが、歯科で使われる麻酔の量ではほぼ問題ないでしょう。
なお、フェリプレシンを含んだ麻酔は分娩促進作用を含んでいるため使用すべきではありません。(一般的な歯科医院では使っていない麻酔薬です。)
そうはいっても実際には「麻酔は絶対に避けたい!」という患者様も多いです。ご心配な方は、治療に麻酔が必要かどうか事前に歯科医師に相談して検討下さい。
抗生物質は飲んではいけないものも一部ありますが、歯科で一般的に処方されるセフェム系であれば問題は無いでしょう。
一方、痛みどめは確実に安全といえるものはありません。
どうしても必要なときは当医院ではカロナールを処方しています。しかしカロナールは効き目が弱く、人によってはほとんど効かないこともあります。
あくまで一つの基準程度ととらえて下さい。実際は各患者様の症状、全身状態などから歯科医師としっかり相談ください。
妊娠初期 | 妊娠中期 | 妊娠後期 |
---|---|---|
1ヶ月〜4ヶ月 | 5ヶ月〜8ヶ月 | 9ヶ月以降 |
応急的な処置のみで、治療が必要な場合は中期に行う。 | 通常の歯科治療がほぼ可能。後期にずれ込まないようにする | 応急処置のみで、応急的な処置。出産後6~8週以降に治療開始。 |
口腔衛生指導は全時期、出産後も継続して行います。