親知らずの抜歯
親知らずとは?
親知らずは別名「智歯」とも呼ばれ、前歯から数えて8番目の歯で、18歳から20歳くらいに生えてくることが多いようです。永久歯の中で一番最後に生えてくるため、あごの小さくなった現代人には生えるスペースがなく、横や斜めに傾いてでてきたり、骨の中に埋まったまま生えてこない場合もあります。また、歯ブラシも届きにくいため細菌が繁殖しやすく、虫歯になったり周りの歯肉が膿んだりして痛み出すことも多いです。 そのため、親知らずは抜歯する必要がでてくることがよくあります。
北上尾歯科では、 年間700本以上の親知らずの抜歯をおこなっており、抜歯が非常に困難な歯肉に完全に埋まっているような親知らずも含め、あらゆるタイプの抜歯に対応しております。 また、非常に多くの患者様から親知らずについてのお問い合わせをいただいており、たくさんの患者様が親知らずに関する悩みを持っていることを知りました。親知らずを抜くのはやっぱり怖いし、「どうやって抜くのか」、「痛いのか」など不安がたくさんあるかと思います。そこで実際の臨床例とともに、親知らずの抜歯について解説していきますので、参考にしてください。
どうなったら親知らずを抜歯した方がいいか?
親知らずはでてきたら何が何でも抜歯しなくてはいけないわけではありません。 親知らずを残しておくことで、将来入れ歯やブリッジの土台として使ったり、どこかの歯がだめになったときに親知らずを移植することもあります。 また、欧米人のようにお口が大きくて、上下の親知らずがまっすぐはえていてかみ合っている場合は抜歯する必要は全くありません。
しかし、実際のところ日本人の口の大きさから考えると、定員5人の車に6人で無理やり乗っているかのごとく、無理やり生えてきている親知らずがほとんどです。ですので、基本的には中程度以上の虫歯ができたり、周囲の歯肉が腫れていたくなったり、現在問題はなくても周りの歯に悪影響を及ぼしそうな場合は抜歯したほうがいいです。
よく「痛くなったら抜けばいいの?」というご質問を受けますが、痛くなったときは親知らずだけでなく、その周りの歯も一緒に抜かなくてはいけない状況になっていることがあります。また、歯がぼろぼろになってしまうと、抜歯が非常に困難になります。
そういったことを考えると、虫歯になる前でも予防的に抜歯することもあります。 歯科医師と相談の上、 親知らずを残しておいた場合の利点と欠点を比較し、抜歯の必要性をしっかり検討することが重要です。
親知らずの抜歯 治療例
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上のまっすぐに生えた
親知らずの抜歯上の親知らずは比較的まっすぐはえてくることが多いです。上の奥歯は頬の筋肉が歯の側面に近接しているため、歯ブラシを当てるのが非常に難しく、虫歯になることが多い場所です。 抜くことは比較的容易なことが多く、痛みや腫れも少ないことが多いです。しかし、上の場合でも虫歯が大きくなってから抜こうとすると、つかんだり引っ掛けにくくなり、抜くことが難しくなることもあります。
左上の親知らずの抜歯の臨床例です。手術時間は5分で、術後痛み止めを1日服用しましたが、その後は気になるほどの痛みはなくなりました。
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下のまっすぐに生えた
親知らずの抜歯下の親知らずは上の親知らずに比べると、まっすぐ生えてくることが少ないです。 上に比べて、唾液の浄化作用が届くため比較的虫歯になりにくいですが、歯肉がはれて痛みを出すことが多いです。 根の大きさや形態、そして顎の骨がかたいため上の親知らずに比べると抜くことが大変です。また周りの歯肉が厚いため、まっすぐ生えていても歯肉の切開が必要なこともあります。
右下の親知らずの抜歯の臨床例です。 手術時間は10分ですが、 痛み止めは5日間服用しました。頬の脹れはありませんでしたが、内側の、歯肉の腫れが4日ほどみられました。
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下の真横に向いて
うまっている親知らずの抜歯親知らずの中で最もたちが悪いタイプになります。横に向いてうまっているため、歯ブラシはもちろん、うがいで流すことも出来ないため、手前の歯との間に細菌がたまってしまいます。そこから感染して、親知らずだけでなくその手前の歯まで、虫歯になったり、歯肉が膿んだりすることがあります。 抜歯の手順としては、歯肉を切開して開き、顎の骨を削り、歯を割って小さくしてとりだします。抜歯後は縫う必要があります。抜くと言うより摘出といった方がいいかもしれません。 それなりの口腔外科に対する知識、経験がないと難しい手術です。
右下の親知らずの抜歯の臨床例です。手術時間は45分で、痛み止めを10日間服用しました。頬の腫れが5日間つづきました。
親知らずを抜歯した後の痛みや腫れ
痛みは非常に主観的なもので、同じ処置をしても人それぞれで大きくかわってきます。 たとえば簡単な上の親知らずの抜歯ですと、通常痛み止めは1日くらいですむのですが、1週間ずっと痛みつづけることも5%くらいの方でおこります。 また腫れに関しても、親知らずの位置や患者様の体質によって大きく左右されます。 あくまで目安にしかなりませんが、平均的には次のようになります。
タイプ | 痛み | 腫れ |
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上のまっすぐ生えているタイプ | 1〜3日 | ほとんど腫れない |
下のまっすぐ生えているタイプ | 5〜7日 | 3割くらいの確率で腫れる |
下の横に生えているタイプ | 10日〜14日 | 7割の確率で5日ほど腫れる |
親知らずの抜歯のリスク・副作用
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①上顎洞
上の親知らずの根っこは、上顎洞と呼ばれる鼻から繋がる副鼻腔に近接していることがあり、歯を抜いた後に、副鼻腔と口腔内が繋がってしまうことがあります。ほとんどのケースで自然に治癒してふさがりますが、ごくまれに穴がふさがらず、口の中の黴菌が上顎洞に感染し、上顎洞炎(蓄膿症に似た症状)になる場合があります。その場合は耳鼻科をご紹介させていただき専門的な治療が必要になることがあります。
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②下顎管
下顎には太い血管と神経が走る管が通っています。親知らずの根っこがここに近接していることが多く、歯を抜く際に神経を圧迫してしまうことにより、術後に神経麻痺が起きることがあります。神経麻痺が起きた場合でも、ほとんどのケースが回復してきますが、長期的にマヒが残ってしまったという報告もあります。 当医院では通常のレントゲンだけではなく、上顎洞や神経管など、解剖学的な危険性がある場合には、CTを撮影して、術前に診査しております。通常のパノラマレントゲンは、正面からのみ映したレントゲンですが、CTは患部を360度、あらゆる視点から精査できますので、術前に精密な検査をした上で抜歯が可能かの判断をすることができます。 精査した結果、非常にリスクが高いと判断させていただいた場合は、大学病院や専門機関を紹介させていただきます。
親知らずの抜歯に関する よくある質問
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右の親知らずを抜歯したら、左の親知らずも抜歯しないといけませんか?
よく「右の親知らずを抜いたら、左右でバランスが崩れるから左の親知らずも抜かなくてはいけないでしょうか?」と質問されることがありますが、全くそんなことはありません。同様に、上の親知らずを抜いたからといって、すぐに下の親知らずを抜く必要もありません。
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親知らずが生えてきたせいで手前の歯がおされ、歯並びが悪くなるって本当?
昔は、こういったことが本や一部の歯科医の間で言われていましたが、現在多くの論文やレポートで、親知らずのせいで他の歯並びがかわることはないと報告されています。
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抜歯の費用はいくらくらいかかりますか?
親知らずの抜歯は、完全に保険の範囲内でおこなえます。費用は抜歯の難易度によって大きくかわります。通常の抜歯であれば、お薬代を含んで1000円〜2000円ですが、横に向いて埋まっている親知らずだと5000円近くなります。
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親知らずの移植はおこなっていますか?
行っております。ただし、移植する親知らずと移植される側の歯根の形態や状態などの条件によって可能かどうかが決まります。費用も基本的には保険外診療となりますので、詳しくはご相談ください。
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北上尾歯科ではどんな親知らずでも抜歯しますか?
全体の98%は抜歯しますが、以下の場合のみ大学病院等の専門機関にご紹介させていただいております。
- (1)心臓病や重度の糖尿病などの全身的なリスクが非常に高い方(通常の高血圧などは問題ありません)
- (2)極度の歯科恐怖症で、抜歯時に全身麻酔が必要な方
- (3)親知らずを抜歯する際、神経や血管を損傷する可能性が非常に高い場合