はりがねの見えない入れ歯
2013年3月24日
「でもさぁ、歯がなくなったら入れ歯にすればいいんでしょ!?」なんて考えていませんか?
入れ歯は使ってみないとわからない問題がたくさんあります。そしてその問題を解決することは想像以上に困難だったりします。
「入れ歯があわない!」という患者さんには大きく二つのパターンがあります。明らかに噛み合わせや適合性の悪い入れ歯を使っている患者さんと歯科医師からすれば合格点を与えられる良質な入れ歯を使っている患者さんです。前者については入れ歯を調整したり、作り替えると問題は解決します。一方後者の場合、「もっといい入れ歯をつくるぞ!」とヤル気を出してつくりかえたとたん、かえって不具合が生じてしまうこともあります。
一般的に歯科治療でつめる銀歯やブリッジ、インプラントなどは入れたその日からある程度噛むことができます。ところが入れ歯はそうはいきません。使えるようになるまでには歯科医師だけでなく患者さんの努力も必要です。
入れ歯は「義歯」と書きます。「義足」「義手」と同じように考えていただくとわかりやすいかもしれません。使ったことはなくても「義足」をつくったその日から歩くのが難しいことは容易に想像できます。うまく歩けるようになるにはリハビリして、足や腰の筋肉をつけ、義足をつかいこなせるようにならなくてはいけません。何度も転びそうになりながら、慣れてくると少しずつ歩けるようになりますが走るのは大変そうです。でも途中であきらめたらいつまでもつかえるようになりません。
これは入れ歯にも当てはまる話です。入れたその日から噛めるのは痛みに強い方や長年入れ歯を使っていた方などごく一部。多くの患者さんは歯肉を傷つけながら少しずつ、そしてやっとの思いで使いこなせるようになります。でも自分の歯と同じようになんでも噛めるようになるのは難しいかもしれません。
今回、写真でご紹介しているのはアタッチメントといわれる入れ歯です。ご自身の歯に特殊な装置をくっつけ、そこに入れ歯を固定します。針金やばねをつかわないので見た目が気になる方にはオススメです。またカチッと装着されるため、安定性も高くかみやすい点も評価されます。ただ、このタイプの義歯でも取り外しは必要ですし、自分の歯と同じとはいきません。
やはりご自身の歯を守ることが第一です。