歯を抜かない先生はいい先生?
2018年7月26日
多くの患者さんが「なるべく歯を抜かない歯科医師」に診てもらいたいと思っているはずです。もちろん私もそう考えて日々診療しています。ただここで問題があります。それは歯を残すことでかえって患者さんにマイナスな結果を与えてしまうこともあるからです。例えば歯周病が重度に進んでしまった患者さんから「歯がグラグラするから周りの歯と接着して固定してほしい」と頼まれることがあります。確かに固定すれば、一時的にその歯で噛めるようになるかもしれません。しかし病気が本質的に治癒したわけではないので、そのままにしておくといずれ周りの骨がとけて隣の歯までダメになってしまいます。このような状態の悪い歯は積極的に抜くことで、お口全体の健康を維持するという考え方もあるのです。どんな歯でも残す先生が必ずしも名医なわけではありません。歯科医師としての経験、そして論文や症例報告など多くの文献を根拠として科学的に診断することができる歯科医師が名医といえるのではないでしょうか。