治らないむし歯

2015年8月27日

「虫歯は削ってつめたら治るでしょ!?」そうお考えの方は多いと思います。
でも、虫歯は治りません。われわれ歯科医師が、どんなにきれいに削って詰めものをしても、あくまでそれは修理に過ぎないのです。

例えば、お湯を沸かすヤカンに穴が空いたとします。このままでは水が漏れてしまうので、その穴を粘土のようなパテを使って埋めるとします。これでヤカンは元どおりに治ったのでしょうか?一時的に水はもれなくなりますが、治ったとは言いにくいですよね。しばらくするとパテ埋めしたところはほころび、また穴が開きます。

実はむし歯治療もこれと全くおなじなんです。
むし歯を削って穴ができたので、そこに金属をつめました。確かに一時的に穴は埋まりました。しかし、いずれほころびがでます。金属ははずれるか、はずれなくても、ご自身の歯と金属の間に隙間ができてきます。するとヤカンから水が漏れるように、お口の中の細菌は歯と金属の隙間に侵入していきます。そして気づかぬうちに金属の中にむし歯ができるのです。

一般的に保険の金属は7-10年くらいが平均寿命と言われています。もちろん患者さんの食生活、かむ力、歯ブラシなどによって、金属の耐用年数は大きく変わりますが、一生もつものはありません。

写真は銀歯を外した中の状態です。ちなみにこういう状態でも、患者さんが痛みを感じることはありません。S12
皆さんのお口に入っている金属は大丈夫でしょうか?何年も治療していない銀歯があれば、チェックしたほうがいいかもしれません。
そして何より「むし歯は治りません。」まずはむし歯をつくらない、それが一番大事なことでしょう。