親知らず抜いたらどれだけ痛いのか?
2013年7月13日
『痛みはひとそれぞれなんで何とも言えませんねぇー』と歯科医師は答えます。確かに正論ですが、患者さんはこんな答えを望んでいません。今回は定量的評価が困難な「治療後の痛み」について考えました。
<長さ1センチの鼻毛を垂直方向に1ニュートンの力で引っ張り、抜いたときに感じる痛みを1ハナゲと定義する>という冗談が昔はやりました。私のような理系人間にとっては非常にわかりやすい表現です。このハナゲ単位を歯科治療に導入してみます。
麻酔*2ハナゲ* 浅い虫歯*2ハナゲ* インプラント*5ハナゲ* 親知らずを抜く*5〜20ハナゲ*
「いやいや、インプラントは10ハナゲでしょ」「浅い虫歯は0ハナゲだよ」などなど異論が続出しそうです。(ちなみにインプラントも親知らず抜歯も治療中は麻酔が効きますから痛みません。治療後の話です)
「どのくらい痛いか?」という問いへの答は、炎症反応の強さと痛みの感じ方の個人差を加味する必要があります。具体的に前者は、同じ手術をしても3日で傷が癒える人もいれば10日経っても治らない人もいる違い。後者は、同じように転んでスリキズができたときに「全く痛くない」人と「すごく痛い」人がいる違いです。
3日で傷が癒えて痛みを感じにくい患者さんは「親知らず抜いたけど全く痛くないよー」となりますし、10日経っても傷が治らず痛みを感じやすい患者さんは「親知らず抜いたらすっごい痛かった!」と話します。つまり、友達や家族の体験談ほど当てにならないものはありません。
ちなみに私が上の親知らずを抜いたときは、2時間後から痛みがでてきました。痛み止めをのんでおさまったため、調子にのってその晩ビールをのむと”ズッキンズッキン” すごい勢いで鈍痛が••• 抜歯後のアルコールだけは間違いなく控えたほうがいいですね。