歯の根の治療は難しい

2013年8月22日

当HPには問い合わせコーナーがあり、多くの方から歯科治療に関する質問が寄せられます。そのなかで最も多い質問が『歯の根の治療』に関するものです。
『近くの医院で根の治療に10回以上通っていますがよくなりません。』『根の治療をしたばかりですが、また痛くなりました。そちらで治療したらよくなりますか?』など、全般的に治療しているが治らないことへの不安、不満といったネガティブな質問がほとんどです。
ではなぜ根の治療ばかりこのような問題が起きるのでしょうか?

その答えは『感染した根の治療は完治が難しい』ことを歯科医師が患者さんに伝えきれていないことにあります。一般的に虫歯は歯医者で治療したら治るもの、と患者さんは認識しています。しかし、実際のところ虫歯は削ったあと治癒することがなく、われわれ歯科医師が人工物で修理しているにすぎません。歯を失ってインプラントをいれるのも同じです。あくまで治癒ではなく修理、修復です。それでも普通の虫歯ならある程度長期的にもつ修復が可能なので、患者さんは治ったと感じます。

しかし根の治療はそういきません。特に根の先まで感染をおこしていると治療器具が届かない部分や目でみることができない細部に細菌が潜んでおり、それらを完全に除去することが不可能となります。歯科医師がどれだけ完璧に治療しても、根の中の細菌は50%しか除去できていない、という報告もあります。
最近では根の治療の成功率をあげるためにマイクロスコープを使用した治療法も導入されています。しかし、日本の保険診療ではマイクロスコープの適用がなく一般的な治療ではありません。また、マイクロスコープがあるから治るという単純な話でもないのです。

北上尾歯科では通常の根の治療では治りが悪い症例について、大学病院、もしくは東京の根管治療専門医を紹介しています。特に専門医は保険適用外になるものの、治療成功率が素晴らしく、当医院歯科医師も自分の歯を治療してもらうために通っています。どちらを受診するにしても紹介状が必要になりますので、歯科医師までお気軽にご相談下さい。

写真)根管治療の際、マイクロスコープと肉眼の視野の違いを写真で示します。上が肉眼、下がマイクロスコープで同じ歯をみています。マイクロスコープは30倍設定です。