気づかないけど歯周病
2014年11月20日
久しぶりに会った友人と話をしていたら「おれは歯医者に5年はいってないけど、歯石がほとんどつかない」と自慢されました。確かに彼はつまみにでてきた秋刀魚の小骨を、一本一本丁寧に取りのぞくような几帳面な性格で、食事の後の歯ブラシとデンタルフロスは欠かさないそうです。彼と同じように、歯ブラシをしっかりしていれば虫歯にも歯周病にもならない、と思っている方は結構いるのかもしれません。
では、写真をみてください。これは歯周病が原因で抜くことになった奥歯です。そして歯の根の周りに付着した黒い汚れが歯石です。歯石というと、歯と歯ぐきの境につくイメージがあるかと思いますが、歯ぐきのなかに入り込んで肉眼では見えない歯石もあります。自分は歯石がついていないと思っている方も、実はこの写真のように歯ぐきにかくれた部分についていることも少なくありません。
歯石の表面はデコボコしており、細菌のすみかとなっています。歯石に潜んだ何十億もの歯周病菌が、歯を支えるあごの骨を溶かしてしまうのが歯周病です。この歯周病菌、近年では全身のいろいろな疾患に大きく関係していることがわかってきました。
たとえば、歯周病の方はそうでない方にくらべ、心疾患のリスクが高まります。また、歯周病菌は直接的に誤嚥性肺炎の原因にもなりますし、糖尿病、骨粗鬆症などとも関連しているようです。
歯周病になっても痛みや腫れなどの自覚症状はほとんどなく、患者さんは気づかないことが多いです。虫歯になったことがほとんどなくて歯に自信がある方ほど、 実は歯周病が進行していたりします。歯医者にしばらく通われていない方はぜひ一度、歯周病検査を受けてみてください。